[ 相続コラム ] 相続対策についての基本的な考え
【 相続対策の基本的な考え 】
相続対策の主なものとして
「相続税の節税対策」 「相続税の納税資金対策」 「相続紛争対策」 があります。
相続セミナーや個別相談会でどのような対策をされていますかとお尋ねしますと、約7割の方が相続税の節税対策をしていますと答えられます。納税資金対策や相続紛争対策についてはあまり対策を講じておられない方が多いと感じます。
たしかに節税対策も大切ですが、相続紛争対策の方がより大切だと考えます。
ただ、相続紛争対策はなかなか難しい問題があります。被相続人(両親等)が生存中に亡くなった後のことについて検討するからです。
相続人がいくらやきもきされましても被相続人がその気になられないと対策ができません。
相続において、 相続紛争対策(遺産分割対策)をされないと、どのような事態になるのでしょうか。対策をされないと相続手続きは(不動産の名義変更、預貯金の名義変更や換金等)民法に従って行われます。つまり、相続人全員で遺産分割について協議を行うのです。
ところが、なかなか分割協議が合意できないのが現状です。遺産分割協議が合意出来なければ、土地建物の相続登記や預貯金の名義変更や換金等が出来ません。
また、相続申告についても不利益(特例が認められない)を被ります。
最も避けなければならないことは、相続による遺産分割を契機とする家族関係の崩壊です。
そのためにも事前に紛争対策として遺言書等を準備される必要があります。
【 的確な対策を行うには現状についての把握が必要 】
① 相続人の把握
相続人は、相続発生時点における戸籍の記載で決まります。
被相続人の離婚や再婚、養子縁組等で相続人が変動します。相続人が誰でどこに住んでおられるのか、相続人の中に行方不明者や独自で判断できない方(痴呆、未成年者)がおられないか事前に把握しておかれる必要があります。
② 相続財産と相続税の把握
相続財産の確認と相続税がどの程度になるか把握が必要です。
把握されることによって的確な相続対策ができます。
[ 相続財産 ]
( 被相続人が、亡くなった日に所有していた、金銭で見積もれることのできる全ての財産 )
ア. 本来の相続財産 ・・・現預金、有価証券、不動産、家庭用財産、貸付金等
イ. みなし相続財産 ・・・ 生命保険金、退職金等。
ウ. 生前に被相続人から相続時精算課税に係る贈与によって取得された財産。
エ. 相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産。
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コラム製作者:代表理事 天谷晃一